第16章 本当のところ
「うぅ、僕の恋人優しすぎる〜」
私を再びぎゅっと抱きしめながら、顔をすりすりと擦り付けてくる悟はもう離さないとばかりに強く強く腕に力を込めた。
「二人とも、ここ一応学校だから」
「えー、そんなの関係ないでしょ〜なんせ僕達がラブラブなのはみーんな知ってるんだし」
「本当にラブラブなのか?数日前、夏油とヒナが高専内で抱き合ったっていう目撃情報があったけど」
その硝子の言葉に、今度は私が焦り身体を大きく揺らした番だった。
「は?何それ。どういうこと?」
「最強二人に挟まれて椿一級術師はどっちを選ぶのかってもっぱらの噂だぞ。デリカシーがなくて空気の読めない顔の良いクズか、優しくて顔は良いけど腹黒のろくでなしかってね」
「酷い言われようだね…私達」
苦笑い気味で腕を組んだ傑に、悟は目隠しをずり下ろしまるで動物が威嚇するようにして親友を睨みつけた。
「どう言うことかな?傑くーん、まさか僕の可愛い婚約者に手出したわけじゃないよね?」
やばい、これはかなりヤバい。瞳孔ガン開きだ!!
傑の目の前へとずんずん歩いて行く悟は、顔を近付けまるでヤンキーのようにギロリと睨みつけた。私は慌ててそんな彼の腕をガシリと掴み、その動きを静止させる。