第15章 隠れた気持ち
その言葉は、思っていたよりもずっとすんなりと口からこぼれ落ちた。
それはまるで、息をするほどに自然で…そして当然だったように思う。
小さい時から、いつだって私を守ってくれていた悟を。
いつだって私を優しく包んでくれた悟を。
私は、どうしようもないほどに…好きなんだ。
何の返事もない悟に不安に思い、少しばかり俯いていた顔を上げれば、そこには先ほどとは比べ物にならないほど顔を真っ赤にした悟がいた。
肌が白いせいか余計に赤く見える頬は、顔全体にまでその赤さを広げている。こんな彼の顔は今まで一度だって見たことがない。
綺麗な瞳を大きく見開いた悟は、これでもかというほど驚いた表情をすると。
「……マジ?」
普段みんなの前では饒舌な彼にしては珍しく、語彙力が無かったと思う。驚いたのを表すにはとてもシンプルなそんな言葉。
「うん、マジだよ。私、悟のことが好き。大好き!!」
自覚したばかりの自分の気持ちを、これでもかというほど笑顔で表せば。
「どうしよう…嬉しすぎて死にそうなんだけど」
自分で聞いておきながら、まさかこんな返しが来るとは思っていなかったのか、信じられないほどに顔を赤く染め、とてつもなく嬉しそうに…だけれどどこか泣きそうに悟は目頭に力を込めた。
そしてそんな彼を見て、今度は愛しさのあまり私が泣きそうになったことは言うまでも無い。