第14章 見たくない
目をパチクリと二度とほどした悟は、それはそれはとんでもないほど驚いた表情をすると。
「僕浮気なんてしてないよ!!こんなにもヒナの事が好きなのに!!あの女は本当にただ任務で仕方なく絡んだ女なんだ!あ、絡んだって言ってもそう言う意味じゃないよ!?本当!腕触られただけだから!それすら吐き気を催したけど。でも本当に誓って浮気でも彼女でもないからッ」
息継ぎをする事なく一気に話した悟は、普段決して息など乱さないのにもかかわらず、今はハァハァと息を切らせ必死に私へ言葉を伝えようとしている。
「でも私の事無視したし…髪の色も瞳の色も変えてた…」
眉間にシワを寄せ小さく話し始めた私に、悟はやはり焦った顔付きで首を横へとブンブン振ると「本当に違うから!!」と、深夜とは思えないほど大きな声を出した。
「五条悟ってバレないように特殊な呪具で髪色と瞳の色を変えてたんだ!君を無視したのはあの女にハニートラップ的な感じで仕掛けてたから…本当いたしかたなくで、ごめん。無視して。もし僕があの時のヒナの立場だったらその場で怒り狂ってたと思う…それなのに僕は…さっきも勝手に任務の事を理解してると解釈して君に嫌な思いをさせた…よね」
「…ハニートラップ」
その私の発言に、悟はハッとしたように私の両肩をがっしりと掴む。
「ハニートラップって言っても本当何にもしてないから!少しデートしてニコニコ相槌打ってたくらいだよ!?」
「…デートはしたんだ」