第14章 見たくない
「ご、ごめんっ!!なかなか奴らのトップの情報が手に入らなくて…さすがの僕もお手上げ状態で…下の奴らは力ずくてすぐに捻り潰したんだけど。幹部の一人が特殊な術式で早々と逃げられたんだ。それでなかなか面倒な事になって…口説き落とせば情報吐くかなと思ったんだ」
うろたえる悟を初めて見た気がする。
アワアワとしながら焦ったように顔を青白くさせ、私に必死に説明している悟に何だか安心する。
要するに、悟の浮気でも彼女でもなく、ただの任務で仕方なく起きていたことだということ。なんなら私の為にやりたくないことをしてまで守ってくれていたということ。
またもや自分の最大な勘違いと共に、羞恥心と…それと同じだけホッとした気持ちが私の胸の中を埋め尽くした。
良かった…全部私の勘違いで。本当に良かった…
胸が張り裂けそうで、ボロボロに壊れてしまいそうで。そして…もう彼のそばに居られないかと思い、信じられないほどに胸が痛み息苦しかった。
ホッと胸を撫で下ろしながら、気が付けば止まっていたはずの涙がまた溢れ出してして…
自分の勘違いで彼に酷い事を言ったし、悟を信じきれなかった自分が憎い。早く謝らないと…そう思うのに、今はとにかくこの現実に涙が溢れた。