第14章 見たくない
「何で他の女性と…」
喉が詰まりそうになりながらも、何とか絞り出した声に、悟は身体をピクリと反応させると、そっと体制を離す。捨てられたのは明らかに私の方だ。
「ごめん。いくら任務の一環だとしても、他の女とあんなことしてたら嫌だよね…うん、僕だったら相手殺してるし」
「…任務?」
何だか恐ろしい内容が聞こえてきた気もするが、今はそれよりもこちらの方が気になる。任務とは何の話だろう、と。
「君の事を考えず軽率な行動だったと思う。僕としたことが早く奴らを潰す事に必死で失念してた。言ったでしょ、僕は君の事に関してはダサくて余裕がないって。それでこのザマだ。でも任務完了後まではヒナに言いたくなかったんだ。君が狙われてるってこと。きっと不安にさせてしまうと思ったから」
「…え?」
「さっさと処理したいがために、あっちのトップの娘に慣れないクソみたいな媚売って情報を得て、ヒナのためだって分かってたけど、ヒナ以外の女なんて僕にとったらそこら辺に吐き捨てたガム以外だと思ったよ。僕のヒナを狙ったアイツらを灰すら残らないようにするつもりだった。だから僕以外の奴にこの件を任せたくなくて、君を不安にさせた。本当にごめん」
ちょっと待って、悟の言っている意味が分からない。どうやら今度は意味が分かっていないのは私の方らしい。