第14章 見たくない
「離してッ」
私の酷く大きな声が辺り一面にこだまする。
こんな大声を出してしまったのは、腕を引いた悟から、甘い香水の香りがしてきたからだ。彼の香りじゃない。知らない香り。
「もう良いじゃん。何が不満なの?元通りの仲の良い幼なじみに戻ろうって言ってるだけだよ」
別に今後は一切関わるのを辞めようと言っている訳でも、もう二度と顔なんて見たくないとも思っていない。
「本当何言ってんの?全然意味分かんないから」
「…どうして分からないの?私には、そんな悟が分かんない!もう嫌なの!!何もかも全部!!辛いの!!」
もういい加減分かってよ、何で分かってくれないの。どうして…引き止めたりなんてするの。