第14章 見たくない
「…え?」
「だから平気だよ、悟は気にしないで」
「…知ってたの?誰から聞いた?」
いや、誰から聞いたってあの時会ったじゃないか。思いっきり。目の前でこんにちはする距離だったでしょう。
「聞いたとかじゃないけど。さすがの私でも察するよ?」
「そっか、察したんだ」
いやいや、私どれだけ鈍いと思われててるの?
「でもそれなら話が早いね」
胸をトントンと軽く叩く。
「うん、そうだね。話し合うまでもなかったかも」
「そっか、まさか分かってると思ってなかった。でもそれならなんで家に帰って来ないの?連絡の返事もないし」
え?家?連絡?あぁ、もしかして早く別れ話をしたかったのに私との連絡手段が取れなくて困ってたってことかな?
「あぁ、それはさすがの私も悪いと思って。それに忙しかったし」
さすがにもうあの家に帰るのは彼女に悪いと思ったからだ。連絡は…そういえばここ数日プライベート関連の連絡を見てなかったな。