第14章 見たくない
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私はただ目の前を唖然と見つめた。
何故ならその光景が、あまりにも現実からかけ離れていたからだ。
目線のはるか先には出張に行っているはずの悟。
喧嘩をしてから私がそのまま出張に行ってしまったから、彼を見るのは10日ぶりだ。私と入れ違いで出張に出かけた彼は地方任務に当たっていると聞いていた。
喧嘩をしていたというのと、出張先での任務が忙しすぎたのもあり…婚約して以降いつもなら出張中は必ずと言っていいほど取り合っていた連絡も、今回はしていなかった。
何となく仲直りするキッカケが作れなくて、出張から帰ったら謝って仲直りしよう。そんな思いがあったのだ。それは悟も同じだったのか、お互い連絡を取らないまま10日が過ぎた。
そして久方ぶりに見た彼、私の婚約である五条悟は…
出張中であるはずなのに、東京の街中、私が見つめるはるか先で女性と腕を組み楽しそうに歩いている。