第13章 術式
碧く綺麗な瞳が私を射抜く。
あぁ、やっぱり空みたいに綺麗だ。そんな事を思ってはたと気がつく。
「ね、一緒に入ろう?もしさっきみたいに目眩でもしたら大変だし。僕ヒナが心配なんだよ。お願い」
外では絶対に聞くことのできないような彼の甘えた声、それと同じくらい甘えた視線に甘えた仕草。
いつだって私は悟のこの雰囲気に絆され流される。
そう。きっとどんなに恥ずかしくても、今からお風呂だって一緒に入ってしまうほどに…私はいつだって悟のこの瞳に弱いのだ。
綺麗だから…じゃない。とても価値のある六眼だから…でもない。
最強である彼が、他人には冷たく無頓着な彼が、自分にだけ見せてくれるこの甘えた瞳がたまらなく心地よく好きだからだ。
「分かった…よ」
気が付けば私の口からは、いとも簡単にそんな言葉がこぼれ落ち。そして目の前にはとてもとても嬉しそうな悟の表情が目に入る。
はぁ、また絆されてしまった。
だけどこの笑顔が見れるならば、それも悪くないと思っている自分が、何よりもどうしようもなく彼に甘いんだということは嫌というほど分かっていた。