第13章 術式
「そお?分かった」
いくら心配性な悟とはいえ、彼に服を脱がせてもらうわけにはいかない。怪我をしたからと言って、いい年して他の人に脱がせてもらうなんてなんてさすがに…と思いながら上着を洗濯カゴへ入れ中のTシャツに手をかけて気がつく。
あ、そういえば悟がまだいるんだった。
「悟、もう大丈夫だから…」そこまで言って思わず言葉を止める。何故なら先ほどまで隣に立っていた彼は、いつの間にか上半身裸になっていたからだ。
大きく目を見開けば、その割れた腹筋が目に入る。いやいやいや、何で脱いでるの?服汚れたから?でもそれなら中のインナーまで脱ぐ必要ないよね?それより、目隠しよりも先に上の服を脱ぐんだなんて呑気な事を考えていると、次に悟は自身のズボンへと手をかけた。
「えぇっ!?」
「ん?」
「悟!私いるよ!?」
どうやら私がお風呂に入るのではなく、悟が先にお風呂に入るらしい。
「え?そうだね?」
「じゃあ何で服脱いでるの!?」
「いや、さすがの僕でも服着たまま風呂入るのは無理よ?」
「そういう意味じゃないよ!待って、今出るからまだ服脱がないで!」
慌てて脱衣所から出ようと、やたらお洒落な脱衣所のドアへ手をかけると、その反対側の手が掴まれ静止される。