第13章 術式
「バケモノって硝子、言い方にセンス無さすぎない?」
生徒達を見送った悟が、そんな事を言いながら私のいるベッドへと座り小さく笑う。
「お前にセンスがどうこう言われたくない」
「身体は問題なさそうだな」と口を開いた硝子は、再び立ち上がるとデスクへと戻った。
「硝子、ありがとう」
ヒラヒラと片手を上げて手を振る動作は、どうやら私達にも早く戻れと言っているらしい。窓の外を見ると辺りは真っ暗だ。今何時なんだろうか…どうやらかなり眠っていたらしい。
「立てそう?家帰ろっか」
「悟は今日、もう何もないの?」
「今のところね。だから伊地知に見つかる前に早く帰らないと」
「でも、私今日の報告書やらないと…」それに、多分上からのお説教も待っている…そう言おうとした所で、悟が私へと手を伸ばすと、その身体をひょいっと軽々と持ち上げた。
「うわぁっ」
「ほら捕まって、高専内うろうろしてたら暇だと思われて任務入れられるかも。というわけで、トぶよ」
その言葉と同時に悟はニヤリと口角を上げると、彼の首元へと腕を回したのを合図に辺りは一変した。