第13章 術式
「先生、俺達もっと強くなるから!先生を助けられるくらい!!」
「もう足手まといはごめんです」
「そうね、そうと決まれば今から特訓よ!!それでそのあとは五条先生にスーシー奢ってもらいましょ!」
「え?僕の奢りなんだ?まぁ別に構わないけど」
「皆んな…どうしよう、私感動して泣きそう…」
ずずっと鼻をすすり、瞳に滲む涙を拭っていた時だった。コツコツとヒールの音がしたかと思うと、クマの見える疲れ切った顔がこちらを覗き込んでいた。
「ほらお前ら、目が覚めたならとっとと帰れ。ここは遊び場じゃない」
「あ、硝子」
「身体はどうだ、違和感はないか?」
悟を押し退け私の前まで歩いてきた硝子は、白衣のポケットへと手を入れてさらりとした髪を耳にかけた。
後ろでは「はいはいお子様達は早くお帰り〜、お寿司は今度連れて行ってあげるからね」という悟の声と共に3人が部屋から出て行く音がする。
「身体は大丈夫、痛いところもないよ」
「そうか、それなら良かった。特級相手に対した傷も無しだなんて、本当私の同期は化け物レベルの奴ばかりだ」
小さく口角を上げる硝子は、ベッドの横にある椅子へと腰掛け私の右手を取ると脈を測り始めた。