第13章 術式
どうやら私の同期は先生として、それはそれは好かれているらしい。
だけれど椅子から立ち上がった家入が返事をするよりも先に口を開いたのは、五条だった。
「なーに言ってんの君達、生徒優先。当然でしょ」
珍しく教師らしい台詞に無表情のまま家入は驚く。まぁいくらこの幼なじみであり婚約者のヒナを愛してやまなくても、さすがは教師。可愛がっている生徒が優先らしい。
まぁどちらとも対した怪我では無さそうだが。
「何言ってんだよ!どう見たって椿先生のが重症だろ!」
「そうよそうよ!それでも婚約者なの!?」
ブーブーと文句を言う虎杖と釘崎に続いて、伏黒までが納得したように頷いている。
「君達〜椿先生が心配なのは分かったけど、僕の言うこと聞きなさーい」
五条の言葉に耳を持たない3人に、仕方ないと立ち上がった家入はコツコツとヒールの音を鳴らして騒いでいる人物達の目の前で足を止めた。