第13章 術式
高専内の医務室のドアが開くなり、家入は眉間にシワを寄せた。
目の前にはボロボロの生徒が3人。そして、あとから入ってきたもちろん無傷の五条の腕には、少しの怪我と気絶したヒナの姿。
あぁ、この光景を見るのは随分と久しぶりだなと思いながらも、溜息を吐かずにはいられない。
「硝子、生徒達の手当てを頼むよ」
軽々とヒナを抱えている五条の手つきは、いつも適当で空気の読めない奴とは思えないほど優しく繊細だ。
きっと呪術界の上層部の人間が見たら、それはそれは驚き腰を抜かすだろう。
まぁ家入からしたら当然の光景だが。同級生になってすぐの頃は、尖りに尖った五条がこんなにも幼なじみには優しいものかと驚いたものだ。
まぁどこからどう見ても五条の片思いなのは、出会ったばかりの家入ですらすぐに分かったが。
「何言ってんのよ!椿先生が先でしょ!」
「そうだよ!俺達平気だから椿先生を先に見てよ!家入さん!」
「俺達は後で大丈夫です」