第12章 溶ける蜜
「大丈夫?どこか痛いところとかない?」
私を腕の中に閉じ込め、優しく抱きしめた悟は心配そうに私を覗き込んでくる。
「大丈夫だよ。悟は…?ちゃんと気持ち良くなれた…?」
「うん、すっごく気持ち良かったよ。だけど僕暴走してたかも…優しく出来てなかったよね?ごめん…」
しゅんっとまるで音がついてしまいそうなほど悟は落ち込んだように眉を歪ませると、切な気に瞳を細める。
「そんなことないよ!だから大丈夫。それに…私も気持ち良かった…から」
火照り合う身体は少し汗ばんでいて、先ほどまでの行為をやけにリアルに思い出させる。恥ずかしいと思いながらも、切な気にしている悟に今の気持ちを伝えたくてそう素直に言えば、軽く俯いていた表情が少しずつ元に戻っていく。
「本当?」
「うん、本当」
「嫌じゃなかった?」
「嫌なわけないよ」
「じゃあ…もしも僕がまた…今みたいなことしたいって言ってら、どうする?」
その聞き方はずるいなぁと思いながらも、うっすらと頬を染める悟がすごく可愛いくて、とてもとても可愛いくて。
私は返事の代わりに悟の背中をぎゅっと抱きしめると「…そんなこと聞かないでよ…意地悪」と彼を名一杯抱きしめてそう呟いた。