第12章 溶ける蜜
断るわけがない、嫌だと思うわけがない。
それは決して、欲望のままに気持ち良い行為をただしたいからではない。
悟と触れ合っていることがとても心地よかったから。悟と近付いた距離がたまらなく温かかったから。
そして、抱きしめ会いながら悟が私を見下ろすその視線が、すごくすごく幸せだとそう感じたからだ。
「あー、無理、可愛いすぎる」
悟を抱きしめた私に応えるようにして、悟も強く私を抱きしめると。ちゅっと軽いリップ音を立てて唇にキスをした。
もどかしくも温かな体温は、すごくすごく心地よかった。
感じたこともない快感に、そして見たこともないほど色っぽい悟が私をどこまでも深いところまで落とした。
あぁ、なんだろう。この満たされた感覚は。
彼の腕の中にいることが、こんなにも幸せで心地良いなんて。
きっと幼なじみのままじゃ知る事は出来なかった。
そう思えば、悟と婚約者になれて本当に良かったと。純粋に心からそう思った。