第11章 甘い休暇
「悟のこと…わたしも…気持ちよく、したい」
何度も繰り返していたキスの動きを止め、その突然の言葉に大きく目を見開いた。
ただでさえ服の中に手を忍び込まされ困惑していたというのに、まさか彼女からそんな言葉が飛び出してくるとは思っていなかったからだ。
自身の下で甘く鳴いていた彼女を見下ろせば、その表情はとろんとしているはずなのに、どこか挑発的で何かを考えているようにも見える。
一体何を考えているのか細かなところまではさすがの僕でも分からないが、彼女がどこか僕を独占したいという気持ちからくる物だと言う事は見てすぐに分かった。嬉しい。嬉しくて死にそうだ。
そんな彼女の変化を見て、だてに20年以上彼女の幼なじみをやっていないと思う。
だけれどこんな状態になったのは初めてで、さすがに戸惑いが隠せない。
まさかこんな状況になるとは思っていなかったし、いくらヒナを自分の手でトロトロに甘やかしたとしても、両思いになったわけでもない彼女に、自分の張り詰めた息子を撫でてくれなどと言うつもりはなかったからだ。