第11章 甘い休暇
「そう言うと思ってあえて魚料理にしてみました〜」と悟は楽しそうにクスクスと笑っている。
誰が思うだろうか。モデル顔負けのこんなにも綺麗な顔をした男が日本を支えている最強の男だということを。
こんなにもイタズラ気に、時々子供っぽく笑う彼が誰よりも強いということを。
悟の笑顔が好きだ。彼の笑顔を見ていると、こっちまで楽しい気持ちになるから。
「何笑ってるの?」
彼の声が好きだ。優しく安心した気持ちになれるから。
「ふふっ、何でもないよ。楽しいなと思って」
エレベーターに乗り込み、小さく微笑む私に悟は不思議そうな表情をしながらも、つられるようにして楽しそうに笑うと、繋いでいた手にちゅっと触れるだけの優しいキスを落とした。
「僕も楽しい。ヒナの笑顔を見ていると、僕は幸せになれるんだ」
まさに今自分が思っていた事を悟に言われ、少し驚きながらも本当に幸せそうな顔をする悟に私も嬉しくなって目尻を下げた。