第10章 特級呪術師
「珍しく感情的だな」
重苦しい空気の中、そのオーラにも屈する事なくそんな言葉がポツリと落とされる。
「随分とお気に入りだったんだな、彼」
家入はクルクルと髪をいじりながら部屋に入ってくると、特段興味もなさそうに五条を見つめた。
「僕はいつだって生徒思いのナイスガイさ」
「あまり伊地知をイジメるな、私達と上の間で苦労してるんだ」
「男の苦労なんて興味ねーっつーの」
「で、コレが宿儺の器か」
白い布がかけられたソレをばっと剥ぎ取ると、目の前には横たわっているピンク髪の少年。胸の中心には大きな穴がポッカリと空いている。
「好きにバラして良いよね」
「役立てろよ」
「役立てるよ、誰に言ってんの。それよりヒナは知ってるの?この子がこうなったこと」
「いや、まだ伝えて無い。今日は重めの任務だって言っていたからね。あれでアイツは結構感情に流されないタイプだけど、まぁ何かあってからじゃ後悔したって遅い。帰ってきてから伝えるさ」
「そうか。空気の読めないお前でも、ヒナと生徒には気をつかえるみたいだな」