第10章 特級呪術師
「わざとでしょ」
「と仰いますと」
「特級相手、しかも生死不明の5人救助に一年派遣はありえない。僕が無理を通して悠二の死刑に実質無期限の猶予を与えた。面白くない上が僕のいぬ間に特級を利用して体良く彼を始末ってとこだろう。他の2人が死んでも僕に嫌がらせができて、一石二鳥とか思ってんじゃない?」
「いやしかし、派遣が決まった時点では本当に特級になるとは…」
ピリリとした重圧が静かに放たれる。
「犯人探しも面倒だ
上の連中全員殺してしまおうか」
先ほどまでの室内からは一変、恐ろしいほどに重苦しくガタガタと震えてしまうほどの呪力が当たり一面を覆う。伊地知はそんな五条に身体を震わせながらカラカラの喉から搾り出すようにして唾を飲み込んだ。