第10章 特級呪術師
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「あー報告修正しないとね」
高専の廊下を肩を並べて歩く五条と家入。古びた木製の通路は五条のような長身男が歩くだけでギシギシと音が響く始末だ。
「いや、このままでいい。また狙われる前に悠二に最低限の力をつける時間が欲しい。記録上悠二は死んだままにしてくれ」
五条は先ほどの光景を思い出しクスリと小さな笑みを作る。
もう何年も呪術師をしてきたが、一度死んだ人間が生き返る光景は初めてだった。先ほどまで胸に大きな穴を開けた少年は、あっけらかんとした顔で「オッス、ただいま!!」と爽やかに笑うものだから、さすがの五条もその姿には度肝を抜かれた。
悠二らしい。宿儺の指を他人を助けるために飲み込んだイカれた子。やはりその言葉がぴったりとくるような少年だ。
「じゃあ虎杖ガッツリ匿う感じ?」
「いや、交流会までには復学させる」
「何故?」
五条はゆるりと口角を上げきゅっと口の端を結んだ。
「単純な理由さ
若人から青春を取り上げるなんて
許されていないんだよ
何人たりともね」