第9章 嫉妬とやら
そんな悟にお疲れ様という気持ちを込めて、白髪の髪をサラサラと撫でると、瞳を細めた悟が私の横へと寝転び布団越しに私を抱きしめた。
「はぁ、僕って本当プライベートも何もないよね」
「お疲れ様、悟。いつも頑張ってて偉いよ」
「僕のこと褒めてくれるのヒナだけだよ」
「そんな事ないよ、いつも皆んな悟に感謝してる。尊敬だってしてるよ、多忙極めてるのに世界を守りながら先生までしてるんだから」
「七海に信頼はしてるけど尊敬はしてないって言われたよ?」
「え…えーとそれは…あれだね。七海君の照れ隠し?じゃない…?」
七海君が照れ隠しをするとは本当は思っていないが、心の奥底では尊敬しているんじゃ無いかと思っている。まぁ性格的な部分は別として、あくまで特級呪術師としての部分ではあるが。
いつだって忙しくしている彼は、一体今まで何度こんな状況になったことがあるのだろうか。先ほどまで行われていた熱い行為も忘れてしまうほど悟を心配気に見つめれば。悟はもぞもぞと私の首筋へと顔を埋め小さな溜息を吐き出した。
最強だって万能なわけじゃない。悟だって疲れる時は疲れるしストレスだって溜まるのだ。彼1人に任された任務や仕事量は膨大で、呪術界という呪いでまみれた世界を背負う彼の重圧は相当なものに違いない。
「せっかくヒナとイチャイチャしてたのに、ムカつく」
だけどどうやら、悟からしたら呪術界の重圧よりも、私とイチャイチャしていた所を邪魔されたのがよっぽど腹立たしいらしい。
まぁそんなところも悟らしいが。