第9章 嫉妬とやら
悟の台詞はもっともだと思ったなんせ今は夜中の三時頃だ。いくら呪術界が万年人手不足だとしてもブラックにもほどがある。一体真夜中の3時に電話をかけてくる企業など何処にあるだろうか。
そんな事を考えながら悟の背中を見つめていると、そういえば以前にも悟とこうして一緒にいる時に突然電話がかかってきて彼がイラついていたのを思い出す。
そう、それは確かあのお見合いの日。私と悟が初めてキスをした日だ。あの時は確か伊地知君から緊急の任務が入ったと悟に電話がきたのだ。
そう考えると、悟ってやっぱり本当に忙しいんだなぁ…
電話をしている悟を見るに「はい、分かりましたよ」という素っ気ないながらにも軽い敬語を使っているのを見る辺り、今日はどうやら伊地知君ではなさそうだ。
良かった。もし伊地知君だったらまた悟に駄々をこねられて胃痛に悩む伊地知君の顔が頭に浮かぶ。
電話を切り再びスマホを上着の上への投げ捨てた悟は、ジッとその姿を見ていた私の方へと振り返りギシリとベッドへと上がってくる。
「大丈夫?緊急任務とか?」
「いーや、明日朝一で話があるから来いって。緊急じゃないならこんな夜中に電話してくるなよ。おじいちゃん達はもうお目覚めの時間なのかな?早すぎない?」
と嫌味を込めたくなる悟の気持も分かる。本当その通りだ。今は寝てなかったからまだ良いものの、任務後に疲れてぐっすり眠っている時に緊急でも何でも無い電話が夜中の3時にかかってきたら迷惑以外の何ものでもないだろう。