第9章 嫉妬とやら
「別に大丈夫だよ…って言ってあげたいところだけど、本当は嫌だった」
そんなの当然だ。嫌じゃないはずがない。
「呪いのせいって分かってても、ヒナと傑がいちゃついてるのを見てイライラしたし腹が立った」
「…うん…」
「最悪な気分だったし、悲しくもなった」
「…うん…ごめん…ね…」
「本当は解呪したら、何も気にして無いみたいに振る舞うつもりだったのに…でもやっぱ無理だね」
「………」
「実際面白く無かったんだよ、目の前でお前達がいちゃついてるの見て。ヒナには僕だけを見てほしいのに、何で傑のこと見てるんだよって」
「……悟」
うつむきながら話す悟が、いつもと違いその背中が少し小さく見える。自分の未熟さが憎かった。私があそこで油断しなければ、こんなことにはならなかったし、悟を傷付ける事もなかった。
私は目の前でうつむく悟の目隠しに優しく触れると、それをそっと下ろしていく。
その瞬間、パサリと柔らかな白髪の髪が悟の顔に影を落とし、碧色の瞳が覗き込む。
その色はいつもの明るい空色ではなく…少しばかり暗くそして深い色をしていた。
私が悟の綺麗な瞳をそんな色にさせている。いつもの広く大きな背中を丸めさせている…