第8章 呪霊の体液
「悟、見ていられないなら他の部屋に行っていた方が良い」
「いや、そんな状態のお前達を2人きりにしてる方が無理なんだけど」
「なら、その今にも私に殴りかかりそうな殺気をしまってくれ」
「そうしたいのは僕も山々なんだけど、殴りたいのは事実だから無理」
この2人の間にこれ以上何か起きるはずが無いというのはわかっている。いくら傑が女タラシでも、傑は僕の親友だしそのくらいは信用しているつもりだ。
「つーかヒナ、全然僕のこと見ないじゃん」
「どうやら認識されていないようだな」
「はぁ!?認識されてない?婚約者の僕が!?」
「対象の異性以外は、目に入らないようになっているのかもしれないね」
「何だよ本当クソみてぇな呪いだな」
「君が言ったんだろ、愛ほど歪んだ呪いはないって。これはまさにその典型的例だ。人を愛する人間は皆その人物のみを見ていたい、自分だけを見ていて欲しいという願望が強いんだろう」
「あーあ、まるで僕みたい。もしかしてこれって僕が生み出した呪いかな。…まぁ術師は呪い生み出せないから違うか。つーか傑腹立つからヒナから離れろよ」
「だから無理だって。24時間経てば解呪術されるんだからそのくらい待てないの?」
「待てない!無理!くっそムカつく!くっそ腹立つ!変な前髪しやがって!引っこ抜くぞマジで!」