第8章 呪霊の体液
イライラとした感情を抑える事もなく再びスマホを耳へと当てある人物へと電話をかけた。
「硝子、傑とヒナについて何か知ってるだろ」
それはまるで知っていることが当然と言わんばかりの言葉だったと思う。だけれどあの2人に万が一の事があった場合、硝子へ連絡がいく。怪我にせよ呪術関係で何かあったにせよ、高専待機の硝子の所へ行くのは確実だ。
そんな僕の苛立ちを感じ取ったのか、電話越しの硝子は「イラ付いてるな」とそんな単語を落とすと「知ってるよ」とだけ答える。
「教えろ」
『あいつらなら今面白い事になってるよ』
「は?面白いって何だよ」
『出張は終わったのか?ならどうせもうすぐ高専に着くんだろ、実際に見たほうが早い。まぁ夏油はお前に見つかるのが面倒で一応隠れたみたいだけどな』
「はぁ?意味が分かんないんだけど」
自分の口調がいつもと違い、学生時代のソレに戻っているのが嫌でも分かる。硝子相手だからか、それとも有り得ないほどにイラ付いているからだろうか。
口から出るのは「は?」ばかりで、イラついているせいか語彙力まで低下している。
このまま電話をしても無意味だと判断すると、早々とその電話を切り深く後部座席へと座り直した。
面白いことになってる?僕から隠れた?意味がわからないどころの話ではない。