第8章 呪霊の体液
その後高専に戻った私は信じられないモノを目にする。ボロボロどころか瓦礫の山になった校舎。最強2人が喧嘩したからといってここまで破壊するか普通?とつい思ってしまいたくなるほどの光景だった。
まぁそれもこれも全部私の責任でもあるのだが…どうやら担任の夜蛾先生は留守だったらしく、硝子は少し離れたところから楽しそうに見学している。
あの2人に向かって立ち向かう者など誰一人いるはずもなく、ただ崩れ去る校舎を皆んながポカーンと見つめていた。
しかしながら私は唖然としていた表情をすぐさま元に戻すと慌てて二人の戦いへと身を乗り出したのだ。「危ないですよ!!死んじゃいますって!!」走り出した私の背中へと後輩の大きな声が聞こえてきたと思う。
ドカーンだとかドゴオオオォだとか、聞いたこともないような破壊音の中必死で2人の間へと立ちはだかったのだ。その瞬間私に気が付いた2人が構えていた攻撃を慌てて止める。「おい!いきなり飛び出してくるとか何考えてんだよ!!死ぬ気か!!」「そうだよ!私達じゃなかったら確実に今の攻撃を止められてなかった」焦ったように私を見下ろした2人に私は小さく言葉を漏らしたのだ。
「もうやめて。何考えてるんだ?そんなのこっちのセリフだよ。こんなに校舎壊して。私達じゃなかったら攻撃を止められてなかった?そもそも悟と傑じゃなかったらこんなところでこんな喧嘩しないから」その瞬間シーンとなった辺り一面。
「悟、無視してごめんね。私が悪かったよ…傑にも迷惑かけてごめん。だけどさ…だけどこれはありえないんじゃない2人とも?」瓦礫の山上で2人を正座させ私はガミガミと怒った。
夜蛾先生が帰ってきて、この全壊した校舎を見て酷い貧血を起こしながらも夜蛾先生のお説教は5時間にも及んだ。もちろん喧嘩の原因である私と、見て見ぬ振りをした硝子含めてだ。