第8章 呪霊の体液
何故なら、高専三年の時の事を思い出したからだ。あの時たしか私達はくだらない事で喧嘩をした。もはや今更何が原因だったかなんて思い出せないほど些細な内容からだったと思う。だけどその時の私はとてつもなく怒っていて、多分悟がデリカシーのない事でも言ってきたんだと思う。
それから怒っていた私は悟に話しかけられても無視、姿が見えれば逃走するという子供丸出しの怒りっぷりで、そんな態度をとり続けて3日目、ついに事件が起きたのだ。
当時二級呪師だった私は単独での任務が許されていて、一人での任務を終え補助監督の方と帰宅している途中の出来事だった。
『ヤバイことになってるぞー』ケラケラと楽しそうに笑う硝子からのそんな電話がかかってきて、背後からはけたたましいほどの爆発音が聞こえてきたのを今でも鮮明に覚えている。
「ヤバイこと?」「五条が暴れて、夏油が止めようとしたら何故か喧嘩になった」「え?何それ?」そんな感じで唖然としていた私に硝子が説明した内容は、悟が私と喧嘩して以来毎日イライラしていたこと。仲直りしたいのに私が話を聞かなくて半ベソをかいてたこと。それに対しついに限界を迎え傑に「変な前髪!!」だとか何とか八つ当たりして喧嘩になってしまったこと。
そこから二人の喧嘩がヒートアップし校舎が半壊どころか全壊してしまい、ようするに私と悟の何気ない喧嘩がとんでもない被害を周りに被ったというわけだった。