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魔法の結婚契約書、破棄させて頂きます

第2章 負積の使い魔


多くの受験者が緊張した趣でアヴァロン学校に集った。リンゴはアヴァリナ学校での一次試験に無事合格したと聞いたことで、いよいよ自分の番だと実感する。
無事何事もなく筆記試験を終えた私は家で合格点ラインであることを確認し、次の試験に備えた。

「ルーナ、頑張って…」

幼馴染は力強く背中を押される。私は緊張した手をぐっと前に出した。

「リンゴもね……!」

「あらあら、本当に貴方達最近仲良しね〜」

「マリーさん、そそんな事いきなり…」
「からかわないでよお母さん…」

告白されたことが未だに脳裏から離れず私とリンゴは顔を火照らせ、またお母さんにニマニマされるのだった。

「行ってきます」

私達は互いに背を向けて会場に歩き出した。


会場は広く、暗い部屋だった。暗い中で目が慣れてきて50人あまりざっと数えているのがわかった。でもどうしてこんな暗い部屋なんだろう、試されているのだろうか。

「今年は見世物パターンか」
「見世物パターンって」
「有力貴族や魔法省の偉い人がやってきて僕らを見物するんだよ」

そんな会話がヒソヒソ話されてくるのが聞こえる。ああ、集中できないと天井を見上げるとキラリと何かが光った。パッと舞台のように円形のライトが灯される。そこには初級の召喚魔術に使う魔法陣が敷かれている。光った先に目をやると仮面を被った知り合いがこちらを覗いていた。あの長い黒髪と胸元を開けたシャツは間違いなくあの女だと思った。

どうやら審査員の1人のようだった。

「皆々様お集まり頂きありがとうございます」

パッといきなり中央に中性的な顔立ちのショートヘアの男……いや胸がある。女が現れそう告げた。
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