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魔法の結婚契約書、破棄させて頂きます

第1章 幼馴染は契約したい


リンゴはみるみる顔を赤くした。

「結婚契約書とか、仕方なく有力者達の中から選ぶとかそんな未来より、君が君自身の手で僕を選んでくれるまで待つよ」

リンゴは微笑む。林檎のように紅く染まった顔を優しく私にちかづけ頬にキスをする。

「リンゴ…?な、なにしてるの」

「僕は本当はこのまま一緒に居られると思って、最初君が嫌がるかもしれない条件だったけどのんだんだ。それだけ僕は自信がなくて、君を僕の傍から離れさせない為にはこれしかないのかなって思っていたんだ」

「ご、ごめん。リンゴ、私、君が…」

「結婚、してくれませんか」

私はその言葉で紅茶を吹きかけそうになる。危ない危ないと私はタオルで口を覆い隠した。リンゴはそれでもにこやかな表情をしていた。

「僕は兄さんに嘘つきたくないし、公平でありたいから」

「な、なんの…」

「兄さんが君にキスしてるの見ちゃった」

今度という今度は吹いた。リンゴがくすくす笑っている。

「ごめんね。やっぱり誰にも取られたくないなって。君と別々になる前に言っとかないと、もしかしたら有力者達がアタックしてくるかもしれないし」

「な、なな、何言ってるの!?正気!?私だよ!頭もかたいし面倒くさがりだし」

「でもね、好きなんだもん。仕方ないよね」

「…やめてよ。そんな幸せそうに言わないでよ」

「僕達だけの結婚契約書、いつか作りたい…です。付き合って、結婚して普通の感覚で」

リンゴは普段言い慣れてないからか、今度は彼自身が恥ずかしくなっている。それでも、真剣だった。からかうことは無い。

「まだ返事はできない」
「うん」
「でも、ちゃんといつか、リンゴに自分の気持ち伝えるから」
「うん……ありがとう」

私達は別々の道を歩む。幸せそうに笑い合う私達も、その先の未来でまた出会うかもと期待を胸に。
死んだジャックもきっと私たちの選択を喜んでくれるだろうと。

「ルーナも僕も顔真っ赤だね」
「い、言わない約束だよ、それは」
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