第1章 幼馴染は契約したい
太陽や月が喋ったり、泣いたり笑ったりする。小さな小人が靴を磨く。雨は甘い飴玉味になる。この世界では当たり前の日常だった。ありきたりな日常だった魔法使いは立派になると人間界に旅立つ。
ルーナには夢がある。いつかお父さんを人間界で探すこと。その為には魔力と勉強がいる。
こんな世界でも同じなのは2つくくりの三つ編みに丸いメガネが真面目ちゃんを指すような造りであることだろう。ルーナは誰も信じないことを5歳の時誓っていこう7歳まで友達と呼べる友達が出来たことがなかった。笑わない、怒らない…つまらない人間だと皆嘲笑っていた。
でも、そんなルーナはそれを気にしている乙女な部分もあった。皮肉にも頭がかたくて、頼る友達のいない彼女は泣くしか無かった。公園から少し離れた誰も知らないような隅っこを見つけては毎日こっそり泣いていた。
ルーナは今日も泣いていた。誰も知るはずのない秘密の場所で。道迷いと場所開けという簡単だが図書館本の難しい本でしか習わない魔法を駆使してできたお気に入りの場所だった。
だけど、今日は何時もと違った。赤毛のふっくらした赤い頬を持つ少年が同じく泣いていた。彼の存在に気がついたルーナは涙を拭いたハンカチを裏返し彼の方に差し出した。
「え…?」
少年は目をまん丸にして、ルーナを見る。綺麗な青リンゴのような瞳をしていた。天使のような見た目の少年は小さな手でそのハンカチをおそるおそる手に取った。
「隣、あいてるよ」
ルーナは魔法で作った空間に手招きして見せた。
そして、少年が手を伸ばしたので、力強く引っ張って自分の魔法の中に入れた。