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ウチの悪魔は『待て』が出来ない

第2章 無邪気な天使は悪魔な肉食獣







「ごめんね雪乃さん」
「…………」



ベッドの上。
指先ひとつ動かないあたしの横でまた、小鳥遊くんが手を合わせた。



「…………」


なんでこんなキラキラしてんの。
肌ツヤ良すぎない?
ねぇ。


「雪乃さん、美味しくて俺、けっこうガッツリ、喰ったから」

申し訳なさそうにポツリポツリと話す彼を、枕に顔埋めながら、睨んでみる。



誰が天使よほんと。
全然容赦ないんだから。
どっちかって言ったら………。


「悪魔だよ」
「ぇ」
「淫魔。下級のだけど、一応俺、悪魔」


「え」


キラキラした笑顔で。
小鳥遊くんが天使みたいに笑った。



「今、あたし、心………」
「うん」


ゴロン、て。
あたしの横に寝転んで。
懐っこく、ふんわりと笑いながら。


「悪魔だもん」


悪びれなく、彼はそう言って退けた。



「…………ぇ、まってほんと、なの?」
「だって雪乃さん信じてくれたんじゃないの?」
「信じたよ。信じたけど、ほんとだと思わなかった、ってゆーかなんか事情、あるのかなって。じゃなくて、悪魔って何?」
「雪乃さんも狼狽えたりするんだね、かわいい」

ちゅ。
て。
ほっぺたにリップ音。


いや。
違う。
ドキン、なんてしてる場合じゃない。


「あ、悪魔って………、つの、あったりとかじゃないの??」
「悪魔にも種類があるんだよ。たぶん雪乃さんが言ってるのは、デビル。ひとの心臓喰べちゃうから、気を付けてね」

にこ。
じゃない!!
かわいい顔でさらっと怖いこと言わないでよ!!

「そ、そのデビル、も人間みたいなカッコ、してるの?」
「さすがにいないよ。大丈夫。雪乃さんが間違えて呼び出さない限りはね」
「呼び出す?」
「黒魔術的な?」


なぜそこ適当…………。
作り話、にしてもそんなのあたしにしてもなんの得もない。
それに。
昨日あんなに死にそうだったのにこの肌ツヤ。
キラキラしてるし。



「…………ほんと、なんだ」
「うん?」
「………しなきゃ、死んじゃうってやつ」
「うん」

「…………」


うん、て。
あっさりと言っちゃう?
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