第1章 世界一かわいい悪魔は今、腕の中で天使になる
俺は今猛烈に後悔してる。
金輪際酒はもう絶対飲まない!!
記憶無くすまで飲んだわりにはきちんと自分のアパートまで帰ってきたあたり、そこはよしとしよう。
よしとする、が。
「…………」
モゾモゾと俺の隣で動きながら。
天使さまよろしくふにゃふにゃと可愛らしい笑顔を振り撒きつつ熟睡してる、少女、か?
…………どう見ても未成年。
目を覚ました俺の隣に寝ていた、全然覚えのない顔。
え。
ええ?
まじか。
まじかー。
布団を恐る恐るめくった途端に青ざめた。
服、着てない。
う、わー。
まじか。
まじか。
やらかした?
こんっな美少女と楽しいいコトしといてなんっで覚えてないんだよ、俺!!
どーせ犯罪者なるなら記憶でもあれば諦めもつくってーのに!!
「ん…………」
ビク!!
隣の少女が目をこすりながらむくりと起き上がり、欠伸をひとつ。
ゆっくりと寝ぼけ眼の瞳がその面積を広め、ますますかわいさに磨きがかったボケボケの表情をこちらへと向けた。
「あ」
あ?
あ?
それは、何?
とりあえず威嚇しないよう笑顔を、向けてみた。
「え」
途端に、とても気の毒なくらいにその表情から温度が消える。
だよなー。
起きたら知らない部屋。
知らない男。
そりゃそーなるのが普通。
数分前の俺と全く同じ心境なんだよなー。
たぶん。
「…………ごめんなさいッッ!!」
だけど。
向けられた言葉は想像とは真逆で。
「…………え?」
「ほんとにほんとに、ごめんなさいっ!!」
ベッドの上で知らない美少女に土下座されるこの構図。
たぶん俺の人生最初で最後の経験かもしれない。