第1章 世界一かわいい悪魔は今、腕の中で天使になる
はーあ。
自分で夢オチ完結したくせに。
結局探しちまうんだよなー。
あーもう。
禁酒なんてやめだやめ。
あいつでも誘って…………、飲みに………。
え。
「リッカ!?」
後輩でも誘って飲みにでも行くかー、と取り出したスマホ。
アパートの前に立つリッカの姿を見るなり、再び鞄の中へ逆戻り。
「…………迷惑、でした?」
部屋の前で立ちすくむリッカを見た途端。
気付いたら抱きしめてた。
「良かった、もう来ねーのかと思ったじゃん」
「まだ1週間ですよ?」
「もう1週間」
くすくす笑う笑い声。
腕の中のぬくもり。
夢なんかじゃなかった。
ちゃんと、ここにいる。
「…………リッカ」
「はい」
「おかしくなるくらい、あんたが好きみたいなんだわ、俺」
「…………」
ぎゅう、て。
壊れそうな細くて柔らかいリッカの身体を、抱きしめれば。
「…………はい」
そう、短くリッカが返事した。
世界一かわいい悪魔は今、俺の腕の中で天使の顔をする。