第6章 逃がさないんだから…!
さてと。
歩きながら、私は左腕を少し捲る。
すると、そこには一昨日までなかった印が浮かび上がっていた。
円の中に、白の勾玉と黒の勾玉があり、白い勾玉には小さい黒丸、黒い勾玉には白い丸。
陰陽のマークだ。太極図って名前だった気がする。
「よしよし、ちゃんと発動してるね。」
これは、イタチ追跡用の呪印だ。
この呪印は綱手様に作ってもらったの。
最初はめっちゃ渋ってたんだよね。
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――
―――
『駄目だ。断る。』
『そこをなんとか!お願いします!』
呪印の作り方だけは、本も無かったし手がかりもなかったからどうにも出来なかった。
でも、大蛇丸が作ってたんなら綱手様だって何か知ってそうだと思ったんだよ。
聞いてみたら、ビンゴ!
作れない事はない、って言ったんだよね。
口を滑らした感じで。(笑)
『そんな危険な物どうするつもりだ!?』
『目印になればいいんですって。』
くわっと目を見開いて怒鳴る綱手様を、両手でどうどう、と宥める。
『目印だあ?』
『運よくイタチを捕まえられても、また行方を眩ますかもしれないじゃないですか。そしたらまた振り出しなわけですよ。』
私はイタチとサスケを止めなきゃいけないのに、肝心な時に何処にいるか分かりませんじゃあ、お話にならないわけですよ。
『常にイタチの現在地を把握しておきたいんです。そうすれば私の思うがままに介入できますし。』
発信機があればいいのに、科学が全然進歩してないから無いんだよ。
『常に、ねぇ。まぁ、そういうことならば…。』
『ぜひ!ぜひとも作ってください!』
私は両手を組んで、うるうると綱手様を見上げる。
三年くらい前だから、私まだ背が小さかったんだよね。
綱手様は、腕を組みながら手を口元に当てて、じぃっと私を見る。
決して悪い事には使わないから!
使い勝手が多少悪くても文句も言いませんから!
って思いを込めて、懸命に見上げた。