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もう一度、を叶えるために。second

第5章 やっと追いついた!



けどウルジさんは、そうですか、と何故か少し肩を落とす。
何で残念そうなんでしょう?
ビビりだってんなら、早々に出て行った方がラッキーって思いそうなものなのに。
変わってるなぁ。
悪い気はしないけど。

私が片付けの続きをしようと立ち上がると、

「あの、じゃあそれ。僕が片付けときますから。どうぞ、準備をしてください。」

ウルジさんがそう申し出てくれた。

「そうですか?…じゃあ、お言葉に甘えて。」

正直、助かります。

私は、ポシェットから巻き物を取り出し、するすると目的のページを開いた。
そこを解術してリュックを取り出し、大量の兵糧丸を詰めていく。
こう見ると結構あるな。
本当は巻物に保存しておきたいんだけど、食べ物って怖くて出来ないんだよね。
前に薬草を保存したら、腐ってたり乾燥してたりで状態がまちまちだったから、それ以降やめた。
もう一個別の巻物も出して、所定のページを解術する。
クナイと千本と閃光弾。
武器の保存状態はパーフェクトなのよ。
これって、食料保存の術式を研究するしかないのかしら。
誰かやってほしいわ〜。

「よし、準備OKっと。」

ぽんぽんとリュックを叩いて視線を上げると、ウルジさんが不思議そうに見ていた。

「それも忍術、ですか?」

興味津々やね。
私はくすっと笑いながら頷いた。

「はい。巻物に武器とかを色々詰めてあるんですよ。」

少し仕組みを説明すると、へぇ!と興味深そうに目をキラキラさせた。

「忍って凄いんですねぇ。」

「いや〜、それほどでも〜。」

褒められて悪い気はしない。
たとえ、当たり前の事だとしても!

ま、それはともかくとして。

「じゃあ、そろそろ…。」

私は荷物を背負って玄関に向かう。

外に出ると、ちょうど空が青から赤へと染まり始める頃だった。
私は、玄関先まで出てきてくれたウルジさんを振り返る。

「お世話になりました。」

「いえ、なんのお構いも出来なくて…。けど、もし近くまでくる事があれば、また寄ってください。」

初めて会った時とは全然違う、穏やかな笑顔だった。

「ありがとうございます。また寄らせてもらいますね。」

私は手を振りながら歩き出した。


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