第18章 白虎のお里に行ってみよう
「すんません、自分も写輪眼の練習をしながらだったもんで…。あ、折角なんで、カカシ先生も写輪眼の練習しません?明日から。ついでに色々聞きたいことあるんで。」
普通は逆ではないだろうか、という言葉をカカシは飲み込む。
うちは一族の方が写輪眼の扱いに長けているのだから、教わるべきはカカシである。
が、エニシに言ったところで詮無いことだ。
彼女は昔からこうなのだから。
「ふあぁ〜…あったかいと眠くなるわ…。先生ももっとくっついた方があったかいですよ。」
そう言って、ぽんぽんと僅かに空いていた後ろを勧められる。
カカシは、少しの照れくささを感じながらも彼女の後ろに抱き込むような形で座る。
確かに大型動物二匹に囲まれると温かい。
が、二人は一応男女である。
距離感がおかしいのだ。
何とも言えない気まずさを感じつつ、ちらりとエニシを見ると、彼女は暢気に船を漕いでいた。
「…やべ…。もし、寝落ちしたら叩き起こしてください…。」
ーなんか俺…自意識過剰なのかな…。
人生の中で、自分の傍に座った女性から緊張されなかったなどという経験は皆無だった。
それだけに、自分だけが意識している現状に戸惑いが浮かぶ。
こうして、甘いシチュエーションで甘さの欠片もない時間が刻々と過ぎていった。