第16章 みんなで呑もうよ♪
葛藤してたら、頭上から小さなため息が聞こえた。
「お前さ、一時危なかったんだよね。五日間くらい寝込んでたの、知ってる?」
え?
「連絡もらってさ、急いでここへ駆けつけた時、満身創痍もいいとこで。死んだようだったんだよね。」
そんな、状態…?
「あのままウルジさんが見つけなけりゃ、お前本当に死んでたかもな。俺達、危うくお前の死に顔と対面するとこだったよ。」
…そう。
それなら…そのまま…
「…ふーん…そうなっても、お前は構わないって言うの。俺達がこんなに心配してるのに。薄情だよね、ほんと。」
先生の怒ってる声って、初めて聞いた。
そう、だね…。
わたし、ほんと、どうしようもないかも…。
「止めなさい、カカシ。エニシ、そんな事思ってないでしょ?」
…実は、カカシ先生の言う通りです、なんて言ったら紅さんはどんな顔するかな。
「…エニシさん、戻ろう。木の葉に戻ろうよ。そしたら…」
「戻らない。それだけは絶対しない。」
「エニシさん…。」
戻りたくなんて、ない。
戻ったところで何を…
「側から聞いてれば…。随分と我儘な人だな。あんた、自分の立場を分かっているのか。抜忍の分際で、本気で我を通せると思ってるのか?俺達は力ずくであんたを黙らせられるだけの力を持ってるんだぞ?」
「ま、待って下さい。ネジ兄さん…」
「ヒナタ様は黙っていて下さい。」
日向ネジ、か。
やるならやってやる。
「エニシ?ちょっと、止めなさい。病み上がりでしょ。ネジもちょっと落ち着きなさい。」
「しかし!抜忍に情は…」
「抜忍、抜忍ってうるっさいな。はっ!抜忍だったら何?ぬくぬくと守ってもらってるお坊ちゃんが偉そうに言わないで!!」
言いながらダッと駆け出す私。
「来い…。八卦、六十四掌!」
「うちはを、ナメるな!!」
ドゴン!
「エニシ!」
「ネジ!」
日向さえいなければ、うちははあんな卑屈にならずに済んだのに…。
日向ばっかり、いつもいつも…。
…あれ?
私、こんなこと思ってたんだ。