第15章 決別
ーサスケ…。
彼がイタチを憎むように仕向けたのは、イタチ自身だ。
憎しみの感情は、起爆剤でもあり、または執着でもある。
サスケは優しいとイタチは思う。
憎しみの裏に愛があるからこそ、今も尚、その想いは自分に向かっている。
それが万華鏡の開眼に繋がるのだと、イタチは確信している。
ーこれがサスケにしてやれる唯一なんだ…。
不甲斐ない兄である、とイタチは自分を責め続けてきた。
もっと力が、知恵があったなら、サスケどころかシスイや一族全てすら救えただろう。
ーエニシにこんな苦労をさせることもなかった…。
彼女は、イタチを止めようとしているのだろう。
分かっている。
どれほどの覚悟で、医療術を極めたのか。
謀が苦手な彼女が、精一杯の慎重さで隠してイタチの為に動こうとしているのかを。
エニシは、簡単には引き下がらない。
―どうすれば、止まる…?
イタチには、エニシを止める為の選択肢が思い浮かばない。
どうしても納得させられる言葉が思いつかなかった。
だが、それでは困るのだ。
エニシにも信条かあるのように、イタチにも信条がある。
イタチは、唯一だとしているものを決して手放せない。
二人の信条は、衝突しあうばかりで相容れなかった。