第14章 ♪龍地洞ってどんなとこ?
「賭けだと言ったでしょ?あなたの予想通り、チヨ婆と言う人が出てこなければ、その人形は出てこない。私の負けよ。その時は、あなたの望みを一つ聞くわ。けれど私が言ったとおりなら、その人形が決め手となる。私の望みはあなたが生き残ることよ。」
「ほう?えらく殊勝だな。何故、俺にそんな事を望む?」
常とは違うライールの様子に、少しばかり心が躍る。
サソリの身を案じるかのような言葉も気分が良かった。
「…どうだっていいでしょ。受けるの?受けないの?」
「…いいだろう。覚えておいてやる。」
ー気が向いたら、な。
サソリが勝てば、ライールは望みを自分の叶えるとも言っていた。
それを考えるのも、また一興だろう。
それもこれも、まずはお互いに生き延びなければ意味がない。
「まぁ…。精々、お前も死ぬんじゃねぇぞ。」
サソリは、そう言ってスタスタと歩きだした。
その様子に、ライールは渋面を作る。
「言いたいことだけ言って帰るのね。」
「なんだ?他にやりたい事でもあるのか?」
揶揄い交じりにサソリが振り返ると、ライールはツンとそっぽを向きながら隣に並んだ。
「ないわよ。ご忠告ありがとう。」
そう言ってサソリを追い越して、早足で戻っていく。
その様に、彼の口からくつくつと笑いが溢れる。
ー可愛くねぇ奴。
だが案外と、ライールの事を気に入っている自分には、悪い気はしなかった。
木陰の片隅に小さな影が一つ佇んでいた。
その気配に二人は気付かぬまま…。
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