第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「先生!今日、俺これ食べたいってばよ!なぁなぁ、作ってくれよ!」
「…え…?」
「いつも料理なんてしないから、どうやって食ったらいいのかさっぱりだってばよ。だから先生が作ってくれよ!」
全くのあり得ない状態にカカシは恐々と写輪眼の描かれた紙を見やる。
―なんて術を…。
九尾にこの術はあまりにも相性が悪い。
一歩間違えればエニシは危険人物に成り得るくらいの術だ。
それをこの様なしょうもない事に使うとは、ある意味彼女らしい。
カカシは苦笑しながらせがむナルトの頭を撫でた。
「じゃ、今夜は丼物にするか。」
「丼物…?」
「そうだなぁ…。あ、白菜と豆腐の餡掛けなんてどうだ?しゃきしゃき野菜と豆腐がとろとろの餡に絡まって美味いぞ〜?」
そう言うと、ナルトのキラキラとしたお顔に加え、口の端から涎が垂れそうになっていた。
「ぶっ…!くくくっ…!」
カカシは余りのおかしさに吹き出してしまった。
今日は全てが予想外だ。
「先生?何がおかしいんだってばよ。」
「い、いや…!なん、でもない。」
怪訝な顔をするナルトに、カカシは無理やり笑いを引っ込めた。
折角、野菜嫌いが野菜を食べる気になっているのだから。術の効果がどれくらいかは分からないが、善は急げである。
「丁度、夕飯の買い出し時だしな。肉でも買いに行くか。」
「俺も行く〜!」
「よし、じゃあ出かけるぞ。」
「お〜!!」
二人は仲良く連れ立って街へと歩いて行った。