第10章 ルーツを探しに出かけましょ
ピンポーン…
「…あれ?留守かな?」
ピンポーン…
「…う〜ん。」
ー気配はするんだけどな…。
「お〜い、居ないの〜?」
もう一回だけ押してみようかと迷っていると、タタタ、という足音が聞こえてきて、玄関の鍵がカチャリと開けられた。
「…何の用だ。」
怪訝な顔をしたサスケが、少し開いたドアの隙間から見えた。
「届け物があるのよ。結構大きいからさ、ドア開けてくれない?」
「は?」
問答が始まりそうな予感に、カカシは問答無用でドアノブを引っ張り、大きく開く。
「はいはい、お邪魔しますよ。」
「お、おい…!入っていいなんて言ってないぞ…!」
「まぁまぁ、荷物置いたら帰るからさ。」
言いたい事を言いつつ玄関先に箱を下ろすと、少し箱を開けて見せる。
そこには一枚のメッセージカードが入っていた。
「はい、これ。エニシからだよ。」
差し出すと、ぶすっと顔を顰めながらも素直に受け取るサスケ。
そこには簡易イラストと共に一言だけ、「残さず食べてね」とあった。
「ちっ、余計な真似を。」
そう言いつつ、少し照れくさそうだ。
「ま、そういうことで。確かに届けたよ〜。」
「あ、あのっ、サスケ君っ。また明日ねっ。」
サクラが玄関ドアの向こうから手を振ると、彼は黙って片手を上げて挨拶を返した後、持ってきた箱を抱えて奥へと消えていく。
「お邪魔しました。」
返答がないのもお構いなしにカカシはサスケの家を後にした。
パタン、とドアが閉まるとサクラは満面の笑みを浮かべる。
「じゃ、先生また明日ね。」
るんるんとスキップしながら帰っていく後ろ姿は実に嬉しそうだ。
アパートを出たところで待っていた影分身から残りの荷物を受ける。
ーお次は、と…。
カカシはナルトの分の箱を抱えると、すたすたと歩き出した。