第10章 ルーツを探しに出かけましょ
「カカシ先生ってエニシさんが好きなんですか!?」
「え!?カカシさんエニシと十近く歳が離れてません!?」
「きゃ〜!!幼妻!」
サクラとシズネににじり寄られたカカシは、少し仰け反りながらたじろぐ。
「冗談よしてよ。俺は微塵もそんな事思っちゃいないよ。」
「そんな事言っちゃって〜。本当は少しくらい気になったりしないんですか〜?」
「そんなわけないじゃないのよ。」
「本当に〜?」
にんまりと笑うサクラを押し除けようとしたしたカカシは一瞬ピタリと止まる。
いつかも似た様な事があった気がした。
あれはアンコ達と甘味処に行った時だったか。
何をするにも完璧を目指すかの様にストイックにやるエニシを見て、医療忍者になるのはどうしてか、と疑問をぶつけた時だった。
『色んな人の運命を変えたい。』
今もその言葉が彼女の中にあるのだろうか。
『カカシさん!』
陽の光の様に屈託なく笑うエニシの顔が過り…。
「ない!ナイから。あり得ない。」
俄かに走り抜けた動揺に、蓋をする様にしてサクラごと押しのける。
「…カカシさん、犯罪ですよ?」
「だからナイってば。エニシは昔も今もイタチ一筋なの。シズネだって知ってるでしょ〜よ。」
カカシの僅かな変化を見逃さなかったシズネは少し心配そうに見てから口を噤んだ。