第9章 久々に血が騒ぐわ…!
そして、宣言通り鬼鮫さん達は二日後の夕方に帰ってきた。
「お帰りなさい、斬不斬さん。」
白の声に私は書類から目を離した。
すると、入り口に斬不斬さんと鬼鮫さんの姿があった。
「おかえりなさ〜い。どうでした?」
私は借りていた執務机の上を片付けて席を空けると、ガラステーブルの上に書類を移動させる。
「…座ってりゃあいいじゃねぇか。」
「いやいや、斬不斬さんの席じゃないですか。」
「そのまま社長やってろよ。」
「え、やだ。裏方がいいです。」
「やっぱ、てめぇは自分のやりたくねぇことを俺に熨斗付けてきてたんだな?」
あ…やべ…。つい本音を…。
斬不斬さんの方を見ると、仁王立ちで睨まれていた。
何も考えてなかったわ、今。
「そんなことないですって〜。斬不斬さんほど社長が似合う人いないんじゃないかな〜。」
「調子のいいことばっかり言ってんなよ?ったく。」
ほっ。
どつかれずに済んだわ。
「…馬鹿ですね。」
「開口一番あんまりなセリフですね。」
なんだか、こういうやりとりが挨拶代わりになりつつある。
…ディスられるのが通常運転ってどうよ?って思う今日この頃。
「海凪亜門はどうでした?」
白が聞くと、斬不斬さんは複雑そうに頬を掻く。
「大分、気に入られていた様子ですよ。人手も借りられましたし、早く片が付くんじゃありませんか?」
白は鬼鮫さんの言葉に目を丸くする。
でも私は然程驚きはしないかな。
見た目に反して実直な人だし(本人には言えない)、人から気に入られやすいタイプだと思う。
「海凪亜門ってどんな人でした?」
問題は寧ろこっち。
ろくでなしだったら私も注意しなきゃ。
「それが…な…。」
斬不斬さんは何故か口籠る。
鬼鮫さんを見ると、何も言わずに肩をすくめるだけ。