第2章 初めての異動
「本日からこのローグタウン支部に異動となりましたマリンコード016412、海軍本部少尉のアンナと言います!よろしくお願いいたします!」
「……ああ」
エースとの別れから1年が経とうとしていた。
あれから私はすぐにフーシャ村を出て、海軍学校に入校した。
初めは戦闘に不向きだったらどうしようかと不安だったが、海賊王の血を受け継いでいるだけあって、難なく体術を会得することが出来た。
学校自体は半年で卒業試験をパスして、そのあとは当然のようにじいちゃんの下で修行を積むことになった。(しごかれていたともいう)
『海軍の英雄』であるじいちゃんのおかげもあってか、たった半年の間で私は三等兵から少尉まで階級を上げるほどの強さと成果を上げることが出来た。
こんな短期間で昇級したのは海軍本部の中でも今までにない
快挙らしく、じいちゃんにはめちゃくちゃ褒められた。
最近のじいちゃんの口癖はもっぱら
「お前はワシの右腕になるんじゃ!!」
である。しかしこの度異動が決まり、じいちゃんの元から離れることになった。
今目の前にいる、一度に二本というなんともワイルドに葉巻を吸っている白髪の大柄の男が私の新しい上司となる人だ。
私はぴっと右手を顔の前にかかげ敬礼をしてから、再び彼をの方を向いた。
「そんな堅苦しい挨拶はいい……。
おれァ、スモーカーだ。お前が噂の期待の新人ってヤツか」
「そんな風に言われているかは存じ上げませんが、そうなれるよう努めていきたいと思っています」
「そうか」
椅子に座りながらふぅーと口から白煙を吐くと、スモーカーさんは電伝虫を手に取り、誰かに連絡を取っているようだった。
彼が電伝虫を切ってしばらくすると、バタン!と勢いよく後ろの扉が開いた。
振り向くと、そこには黒髪のショートヘアで額の上に眼鏡をかけている女の子がいた。
見た感じ自分と年が近そうに見える。
「スモーカーさん、新人さんがきたのは分かりますけど5分以内っていうのはあまりにも横暴すぎませんか!?」
「こいつが俺の部下のたしぎだ。たぶんお前さんと年も近けェから、何かわかんないことがあったらそいつに聞け」
たしぎ、と呼ばれた彼女の指摘にはまったく触れずに、言いたいことだけ伝えるとスモーカーさんはそのまま部屋を出て行ってしまった。