第1章 プロローグ
ちゅんちゅん…。
光が差し込む窓の近くにいる鳥の鳴き声で、アンナは目を覚ます。
時計を見ると、針は7時を示していた。
「…もうこんな時間!はやく朝ごはんの用意しなきゃ!」
アンナは急いで体を起こし、ベットから降りた後急いで台所に向かった。
階段を早足で降りて台所の暖簾をくぐると、そこには山賊の手下の一人のドグラの姿があった。
いつもならアンナが一番乗りで朝ごはんの用意を始めるのだが、今日は起きるのが遅くなってしまったため、彼の方が先に準備を始めていたようだ。
「ドグラごめん!少し寝坊しちゃった」
「おおアンナが寝坊なんて珍しいな。まァ大丈夫だろう、まだエースもルフィも来ちゃいニーからな」
「そうね、2人が来る前に用意していないとあの子たちうるさいからねー」
ふふふと笑いながら、アンナはかけてあるエプロンを手に取り、それを身に着ける。
たんたん…と畑でとれた野菜を切り、朝ごはんを作っていると騒がしい聞き慣れた声が聞こえてきた。
「アンナー!メシできてるか?」
「腹減ったーーー!!姉ちゃんまだかーーー??」
台所の暖簾からひょっこりと顔を出したのは、太陽のような明るい笑顔を浮かべる2人の黒髪の少年。
「もう少しで出来るから大人しく座って待ってなさい!」
「へいへい。行くぞールフィ」
「ししし!今日のメシも楽しみだなあ。な、エース!」
私が声をかけると2人は聞き分けのいい返事をして、居間の方に戻っていった。
あと少しでこの光景を見られなくなってしまうのだなあとアンナは兄弟の後ろ姿を見つめていた。