第1章 月から
私は、目を開けた
なんの躊躇もなく、
枕は濡れていて、目も濡れたまま腫れてる
伸ばした腕の先は指折りしたまま
まだあたたかさが残ってる
私を照らしていた月の光は、いつのまにか雲の傘をかぶりぼんやりとしていて
明日は雨なのかと思った
暗い部屋の中で私は仰向けに向き直り、天井に手を伸ばす
あたたかさが残る指をまっすぐ伸ばして
この先
辛いこと、悲しいこと、苦しいこと
たくさんあると思う
私が越前リョーマという存在に恋をしている間ずっと
でもきっと
ほんの少しだけ泣かなくなる
私が確かに感じたこの特別を信じて
明日が雨でも、傘をさして元気に歩こう
泥が跳ねても、肩が濡れても
心の中に雨が降っても、傘をさして元気に歩こう
傘が壊れそうになっても、冷たい雫が落ちてきても
リョーマくんを、信じてる