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溺愛巫女は、喰べられたい

第4章 はじまり



「あのこれ、ハンカチ…………」

ぽかんとしてる狼の掌を、強引に奪って。
濡れたハンカチを、巻く。


「なんかよく、わかんないけど…………、ごめんなさい」



「…………そーやってわけわかんねーのに謝ってっから侵食されんじゃね?」
「…………?」
「…………ほんとに心当たり、ないの?『それ』」


『それ』


「…………どれ?」




真剣な顔で。
ふたり顔合わせて。



ふたり同時に、あたしを見た。



「…………それ、その右目」
「右目?」
「おまえのもの?」

「…………ぇ」



何。
言って。





…………やばい。



なんかふたり。


怖い。



「ぁ、のごめんなさいっ、お母さん心配するから、あたし帰ります」



反射的に教室のドアを開けて。
思いっきり階段を駆け降りた。


これが。
狼と、ユーリとの。
出会い。





不思議なことに。
この日以来。
あたしの目に不気味な黒い影がうつりこむことが、なくなった。
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