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溺愛巫女は、喰べられたい

第4章 はじまり



狼。
と。
ユーリ。


怖い方が、狼。



「よくゆーし。狼が真っ先に教室戻ったくせに」


あ、あれ。
意外と優しいの、かな。


「ちっげーし!!便所行きたくなっただけだろ!あーそうだ、便所だったんだ俺ー、行ってくるわ」
「おー」



??

仲、いいんだよ、ね?


助けてくれた、のかな。




「さて、尊ちゃん」

…………いきなり名前。


「…………ずいぶんと物騒なもの詰め込んでるみたいだけど、それ、どーしたの?」



…………。



「…………え」





何。
あたし…………。
何も。




「『これ』」



え。



後ろから伸ばされた手が。
掌が。
右目を、捉えた。




「狼!!」


「…………って…っ」



瞬間に。
バチバチバチ、って火が、舞って。

後ろで『狼』、が、小さく声を上げた。




「え…………」



何。
今。
なんで。


狼にされたみたいに、掌で右目を覆う、けど。
特に何の変化もなくて。
だけど。
あたしの右目に触れた狼の指先は、真っ赤、だ。
まるで。
火傷した、みたいに。



「バカおまえ!!むやみにさわんな…………っ」
「るせーな。こんくらいなんともねぇし」

「あ、あの…………っ、あたしハンカチ濡らしてくる」


冷やさなきゃ。
そう思ってドアを開けようと、して。
一瞬躊躇する。
またさっきの、いるかも。


「…………っ」


でも。



首をブルブル振って、一呼吸。
教室のドアを開けた。
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