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溺愛巫女は、喰べられたい

第1章 人、ならざるもの


「尊ごめん、このままいい?」


「!!!」



パジャマの裾から狼の手が、直接肌を這い、胸へと行き着く。
そのまま手のひらで包まれて。
狼の手で、形が変えられていくふたつの膨らみ。


「んん〜〜〜っ」


相変わらずユーリは唇離してくれないし。
狼の手が、どんどんエスカレートしてく。



ごくん  ごくん  ごくん



て。
ユーリの喉が、動く。


「〜〜〜〜っ、ぅう」


身体の中から血液が、抜き取られていく。





人、ならざるものは、この世に確かに存在する。
逢魔時。
夕暮れから闇へとかわる時。
それらは『餌』を求めて、やってくる。
願いを叶える代わりに支払う対価を、求めて。
対価は『生命』。
人知を越える力はときに己へと、返ってくるもの。
そしてそれは、ときに更なる災いを産む。
10年前、お兄ちゃんはあたしの右目を治すために『対価』を支払った。
今も変わらず病室のベッドで眠るお兄ちゃんはただの抜け殻。
魂は、悪魔に喰われたんだから。
そして代わりに得たこの右目は、あたしのものじゃない。


『悪魔』の、ものだ。


ヒトが望むもの。
それらの身体の一部はみな、悪魔のもの。
所詮まがいもの。
いずれはそれらに、喰い殺される。
いずれ持ち主の元へと、帰るのだ。
喰い殺した生命とともに。
そしてあたしもいつか。
この右目に、喰い殺される。
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